粒径分布モデル

粒径分布モデルとは?

粒径分布は世界の産業の様々な局面で遭遇する問題です。分野によっては、製品の品質管理や処理方法の改良に粒径分布の知識が欠かせません。例えば、結晶化においては、品質、純度、下流工程等を管理するために一定の粒径分布に基づく結晶生成が望まれます。造粒、触媒反応、重合等では、粒子の成長とその流体力学的な現象、および反応装置の性能が重要になります。気泡塔では気泡が分裂や合体を経ますが、これを気-液二相流の力学および気-液間の物質移動と連成させます。同様に、液-液抽出、乳化、高せん断ミキサー等の性能も液滴の粒径分布に依存します。他の適用分野には、ノズルや噴霧器から発生する噴霧等があります。

アンシスは、オイラー混相流モデルをベースとしたポピュレーションバランス法によって気泡、液滴、固体粒子の粒径分布をモデル化するアドオン機能を開発しました。ポピュレーションバランス法では、粒子が核形成、成長、分散、溶解、凝集、分裂をたどる間の粒度分布を追跡します。FLUENTバージョン6で採用するアプローチは汎用的なもので、溶液結晶化から気泡塔解析まで、製造業における様々な流れのモデルに適用するためのカスタマイズができます。ポピュレーションバランスモデルでは追加の微分方程式を解く必要がありますが、FLUENT6では、次の3つの解析手法が利用できます。
●離散ポピュレーションバランス法
●標準モーメント法
●求積モーメント法
粒径分布モデル画像1

粒径分布モデル画像2

モデルのアプローチ

最初に、FLUENT6の混合モデルまたはオイラー・オイラー混相流モデルで流れ場を計算します。その後、数密度関数によって分散相のポピュレーションバランス (粒度分布の収支) を定義します。ポピュレーションバランス方程式には、第二相で起きる可能性のある分裂、凝集、成長のプロセスを考慮する項が含まれます。分裂プロセスの例には、気泡塔内の乱流による気泡分裂等があり、凝集の例には、気泡の衝突に伴う合体等があります。それぞれの産業プロセスごとに、ユーザーが独自の分裂速度、成長速度、凝集を記述する式を定義することが必要です。その結果得られる追加の連立偏微分方程式を、次に説明する3つのアプローチのいずれかを用いて解きます。

離散ポピュレーションバランス法

このアプローチは、粒度分布を有限個の粒度区分に離散化します。この手法は、おおまかな粒径分布が事前に明らかな場合に有効です。計算負荷は、要求される代表的な粒度区分の数に依存します。従って、この手法は粒径分布の幅が3桁以内の場合に適しています。この手法の長所の一つは、粒径分布を直接計算できることです。 粒径分布モデル画像3

標準モーメント法

これは、粒径分布に関する前提を必要とせず、離散ポピュレーションバランスモデルと比較して計算負荷の小さい手法です。ポピュレーションバランス方程式を変形することで、粒径分布モーメントの連立輸送方程式を得ることができます。通常は数個、ほとんどの場合、4個から6個のモーメントを解けば十分です。標準モーメント法は離散化ポピュレーションバランス法より計算負荷が小さく、全体の粒径分布ではなく粒径分布の平均的な特性のみが必要な場合に有効です。 粒径分布モデル画像4

求積モーメント法

このモデルは、計算負荷という点では、標準モーメント法と同様の長所を持っていますが、標準モーメント法が厳密に閉じた形式を用いるのに対して、近似的に方程式系を閉じます。これによって、分裂や凝集が関わる幅広い分野で、求積モーメント法を制約なく適用できるようになります。 粒径分布モデル画像5

適用分野

FLUENTバージョン6のポピュレーションバランスモデルで採用するアプローチは汎用的なもので、次のような産業界での流れの現象に適用できます。

重合 液-液分散 エアロゾル
気泡塔 溶液結晶化 造粒
曝気 沈降反応

機能

ポピュレーションバランスモデルは、ユーザーが広範な問題を扱えるよう次のような機能を備えています。

核形成 凝集 相間物質移動
成長と溶解 分裂 相間反応
オイラー・オイラーモデルおよびミクスチャーモデルとの完全な互換性
3つの計算手法: 離散法、標準モーメント法、求積モーメント法  

モデルの使用について

ポピュレーションバランス モデルは、FLUENTバージョン6.2から導入される高度な機能です。モデルを有効にすると、グラフィックユーザーインターフェイスに追加メニューが表示されます。ユーザーは、分裂、凝集、成長、核形成等を記述するためにUDFを開発する必要がありますので、UDFの使用経験とトレーニングが要求されます。