

FLUENT 6.3では、既存のソルバーに加え圧力ベース連成型ソルバーが使用可能になりました。この新ソルバーにより、多くのケースで解析効率、収束性およびロバスト性の向上が期待できます。このソルバーでは、圧力の方程式と速度の方程式を完全連成させ、他の方程式は逐次解析します。これは、stiffな問題やひずみの大きいメッシュで特に有効です。 新しいソルバーだけでなく、既存のソルバーも強化され、ロバスト性、精度および効率が向上しています。例えば、強い衝撃波は密度ベースソルバーで、非定常解析なら圧力ベースソルバーで解析することで、計算効率を改善できます。新たに導入されたcase file診断機能では、条件設定を評価し、推奨項目をユーザーに提示します。 FLUENT 6.3には多面体メッシュが導入されています。これにより、複雑な形状に柔軟性の高い非構造メッシュを適用しつつ、大規模な四面体メッシュに伴う効率悪化の回避が可能になりました。FLUENT 6.3上で四面体セルを自動的に結合、変換することにより、多面体メッシュを生成します。これにより、セル数を3分の1から5分の1に削減可能です。あるいは、セルのひずみ度を基準とするセルの結合手法も利用できます。これにより、セルのひずみが大きい領域を多面体に変換することで、メッシュ品質が向上します。多面体メッシュの生成は自動化を特色とし、作業時間を短縮します。また、多面体メッシュのセル数は元の四面体メッシュの5分の1程度にまで減少する場合もあるため、収束が向上します。 さらに、FLUENTでの重点分野である並列処理への対応では、並列処理の効率と柔軟性が向上し、ケースファイルとデータファイルの読み書きに要する速度も改善されました。ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)を利用されるお客様には、Windows Compute Cluster Server 2003等の64ビットWindowsプラットフォーム上でFLUENT 6.3を利用するメリットもあります。 |
FLUENT 6.3では、surface-to-surface(S2S)輻射モデルの計算効率が向上し、適用範囲が広がりました。既存モデルの拡張により、surface-to-surface輻射モデルは二次元軸対称のケースおよび複数の閉空間を含むケースにも適用可能になりました。 DO(discrete ordinates)輻射モデルでは、discrete ordinates(輻射強度)とエネルギー方程式を連成させて同時に解析するオプションが導入されました。これにより、灰色、非灰色のいずれにおいても、光学厚さが極端に大きい(10以上)ケースで解析時間の短縮を図れます。 また、FLUENT 6.3では、実在気体モデルで複数の化学種を扱えるようになりました。以前のバージョンと比較して、より現実的な混合気体のシミュレーションを行うことが可能です。 |
| FLUENT 6.3の反応流シミュレーションでは、新たにslow chemistryおよびmicromixingモデルが装備され、液体反応および一部の燃焼事例に強みを発揮します。さらに、拡散燃焼モデルおよび部分予混合燃焼モデルで扱える化学種の数も増えました。有害物質モデルでは、SOxモデルおよび尿素吹き込みに対応したNOxのSNCR(選択無触媒脱硝法)モデルが加わりました。エンジン筒内燃焼に関連して、ディーゼルエンジンにおける着火遅れモデル、ガソリンとディーゼル燃料の層流火炎速度、データベースが追加されました。 |
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| 豊富な乱流モデルはさらに発展を続けています。DESではLESとレイノルズ平均ナビエ−ストークス(RANS)型の乱流モデルを組み合わせていますが、RANSとしてrealizable k-ε、SST k-ω2方程式モデルが利用できるようになり、DESの適用範囲が広がりました。さらに、LESでは時間統計機能が拡張され、非定常統計量や非定常の壁面統計量を考慮するようになったため、シミュレーションからより一層有益な情報を得られます。RSMは低レイノルズ数流れのための改良が行われ、壁近傍を精細に解像することができるようになりました。FLUENT 6.3では、k-ε乱流モデル使用時にユーザー定義関数を用いて独自の壁関数を定義できます。 |
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混相流モデルは従来からの重点分野です。FLUENT 6.3では非定常混相流解析の精度が向上しました。また、オイラーモデル、混合モデル、VOFモデルがシェル伝導モデルと併用可能になりました。 オイラー混相流モデルが適用される流れの範囲も広がりました。圧縮性気体と液体を含むケースが扱えるようになりました。また、接続境界モデルへの対応により、ポンプ内の混相流解析が簡単になりました。さらに、低速グラニュラー流をモデル化する際の摩擦圧力や摩擦粘度のオプションなどが追加されています。 VOFモデルによる自由表面シミュレーションでは、CICSAM(Compressive Interface Capturing Scheme for Arbitrary Meshes)という界面追跡手法が導入されました。CISAMの利用により解析の安定性が向上し、並列計算のロードバランシング(負荷均一化)が改善します。さらに相間の粘度比が大きい場合は特に有効です。FLUENT 6.3では、ユーザー定義関数(UDF)を使用して壁面接触角を指定できるため、局所的な流れ場から動的接触角を算出できます。 この機能は、表面張力が大きな意味を持つ毛管支配流れでは非常に重要です。 分散相モデル(DPM)では、液膜を含む多成分粒子や多成分液滴の蒸発に対応し、多成分液滴と連続相の相互作用を扱えるようになりました。この機能を用いれば、より現実的な燃料蒸発モデルを考慮できます。また、ダイナミックメッシュ使用時に移動境界からの粒子噴射が可能になったほか、粒子の噴射方向に面の法線方向を指定できるようになりました。 |
FLUENT 6.3では、シミュレーションから情報を得るためのレポートツールが多数追加されました。これらのツールには、新しいレポートおよびレポートオプション、LESの時間統計の拡張、流れを可視化する粒子を注入する機能等があります。 他の改良点として、サードパーティ製CAEパッケージとの連携機能が挙げられます。例えばFSI(流体構造連成解析)などで、他の解析ツールやポスト処理ツールとの間でファイルをインポートならびにエクスポートすることが簡単になりました。多面体メッシュを使用したケースのデータは、FieldviewおよびEnsightにエクスポートしてポスト処理できます。また、FLUENTで計算した粒子およびパスラインのデータは、EnSight形式でエクスポートできます。さらに、FLUENTの並列バージョンでTecplotへのエクスポートがサポートされるようになり、並列計算の解をTecplotにエクスポートする手順が合理化されました。 |
FLUENT 6.3では、ユーザー定義スカラーの柔軟性が向上し、固体ゾーンで解析が可能になりました。ユーザー定義スカラーは指定された流体または固体ゾーンでのみ解析されます。ユーザー定義スカラーによる非等方性拡散のモデル化も可能になりました。ユーザー定義関数ではフックの改良および追加が行われ、「execute-at-exit(終了時に実行)」フックや複数のUDFを同時に呼び出す機能などが利用できるようになりました。 アドオンモジュールも強化されました。ポピュレーションバランスモジュールは、FLUENT 6.3で新たに追加されたモジュールです。このモジュールでは、混相流モデルで粒子や液滴の粒径分布を考慮できます。分裂や合体を考慮するために3種類のアプローチが利用可能で、事例としては、気泡塔や晶析装置のモデル化が挙げられます。固体高分子型燃料電池(PEM)および固体酸化物型燃料電池(SOFC)のモジュールも強化されました。PEM燃料電池では、非定常シミュレーションが可能になり、電気伝導率はFLUENTの物性データベースから取得できます。SOFCモデルでは、シミュレーションで扱える条件が拡大しました。 |