

2008年9月16日
製品開発プロセス最適化のためのシミュレーションソフトウェアおよび関連技術を革新する世界的リーダーANSYS, Inc.(NASDAQ:ANSS)は、北京オリンピックにおける同社技術の成果について発表しました。競泳で、入賞や世界記録の更新を達成した選手の大半が着用していた水着は、そのデザイン過程の一部にANSYSのソフトウェアが利用されていました。Speedo®社の画期的な水着LZR RACER®の特徴の一つは、抵抗を削減するためのパネルが装着されていることですが、これは、ANSYSのシミュレーション技術による流体解析の結果にもとづき、最適の位置に配置されました。ANSYSのソフトウェアは、水着の最終デザイン段階で方針を定めたり、試験と改良を行うために利用されました。
Speedo社のLZR RACERを着用した選手により、25個の世界記録のうち23個が樹立され、金メダル47個および競泳の全メダルの89%が獲得されました。2008年は、オリンピック競泳大会の前にも、52個の世界記録が誕生しましたが、そのうち48個はSpeedo社のLZR RACERを着用する選手が更新したものです。事実、今年2月に水着が発表されてから1週間以内に、この水着を着用する選手が3個の世界記録を塗り替えました。
「統計が何よりの証しです。当社は、製品の背後にある戦略的技術としてトップスイマーが記録をわずかでも縮める力になれたことを誇らしく思います。Speedo社との協力が始まったときから、当社の技術がスイマーの成功に貢献することを予想していました。開発チームは、当社のエンジニアリングシミュレーションソフトウェアを活用して、物理的な試作の前に、より多くのWhat-if分析を行うことができました。このような試行がもたらすメリットもさることながら、当社のソフトウェアは、研究者が抵抗力への理解を深め、可能な抵抗削減の方法を突き止めるのにも有効でした。これは、エンジニアリングシミュレーションが技術革新を促し、最終的に、お客様にビジネスの成功をもたらした現実の例です。」(ANSYS, Inc.、vice president, marketing、Chris Reid)
先日逝去されたSpeedo社の数値流体力学専門家Barry Bixler氏は、ANSYS®ソフトウェアを利用して、バーチャルなスイマーの身体まわりの水流シミュレーションを実施しました。シミュレーション結果は受動抵抗の領域を明らかにするために利用されました。受動抵抗とは、最初の飛び込み直後および往復時プール壁でのターン直後によく見られるグライド姿勢において、スイマーの身体が生成する摩擦のことです。グライド姿勢は1レースの30%で維持されるため、この姿勢における抵抗削減が競泳では非常に大切です。シミュレーション結果により、スイマーの身体上で胸全体など抵抗の大きい領域を正確に突き止めることができました。LZR RACERには、パネルと呼ばれる精巧に造形された低摩擦性素材が装着され、基本の水着素材と比較して表面摩擦抵抗を合計24%削減していますが、その最終位置は、この研究にもとづき決定されました。試験では、LZR RACER着用時には、トレーニング用水着との比較で、スタート、ダッシュ、およびターンの速度が4%向上しました。Speedo社の広範な試験では、LZR RACERが世界最速の水着であることが示されています。LZR RACERパネルは、通常の水着素材との比較で表面摩擦を38%削減し、Speedo社が2004年のアテネオリンピックに先立ち発表した水着FASTSKIN FSIIとの比較で受動抵抗を10%削減しました。
Bixler氏は、ANSYSおよび英国ノッティンガム大学のエンジニアリング専門家と共同研究を進め、表面抵抗と形状抵抗の両方が生じる領域を解析で明らかにしました。摩擦抵抗は、流れに接する素材自体の物性と局所的な流れ条件、特に速度に依存する抵抗で、局所的な速度勾配が流体粘性によるせん断応力を引き起こすために生じます。一方、形状摩擦はスイマーの身体が流体中を移動することにより生じるもので、これに関しては、可能な限りなめらかで障害の少ない流れ経路を作って、抵抗を減らすことが目標になりました。流体解析には、ANSYSソフトウェアによる高精度の境界層メッシュ生成技術が使用され、トップスイマーの精密スキャン形状を用いて、流体の流れを詳細に解像しました。
このプロジェクトでは3年間にわたり学際的な研究が行われました。上記以外にも、米国NASAによる、風洞を用いた各種ファブリックの抵抗評価、ニュージーランドのオタゴ大学による、人工水路試験での抵抗評価と競泳における効率的なパフォーマンスの測定、さらに、有名なスポーツサイエンスの研究機関であるAustralian Institute of Sportによる、人工水路と風洞の実験結果を生かした現実的手法の開発など、さまざまなパートナーから協力を得ています。
「スポーツ産業の先端企業とANSYSとの関係はなくてはならないものです。多くの組織が競合する中で、すぐれた結果を出す者はごく少数に限られ、場合によっては、その差は微々たるものでしかありません。たとえば、オリンピック競泳の決勝で、Michael Phelpsが0.01秒の差でメダルを獲得したのもその1つです。レースを通して選手の泳ぎを分析するために未来のエンジニアリングシミュレーションができることは、限りなくあります。受動抵抗を的確に捉えられたことで、より複雑なマルチフィジックスシミュレーションへの準備が整いました。これは、Speedo社の水着のさらなる進化の中でも、そしてスポーツ分野での事例拡大に伴って実現していくことでしょう。
Speedo社の LZR RACERは、オリンピックの歴史的な偉業にも大きな役割を果たしました。米国を沸かせた競泳選手Phelpsは、Speedo社のLZR RACERを着用して8個の金メダルを獲得し、36年前にMark Spitzが打ち立てた、1人の選手による1大会での金メダル獲得数の記録を塗り替え、これにより、オリンピック史上で最も偉大な選手となりました。
■Speedo®会社概要
Speedo®は水着の代名詞となった象徴的ブランドであり、80年周年の今年に至るまで、画期的な新技術、デザイン、技術革新を達成してきました。
1920年代に、Speedoは世界で初めてウール以外の素材を使ったスイムスーツRacerbackで歴史を塗り替えました。2008年にSpeedoは、先進的技術を用いた史上最速のスイムスーツFastskin® LZR RACER®で水着の概念を一新し、同時に、コムデギャルソンとのデザイン提携により最先端のデザインを生み出しました。世界のトップ水着ブランドとして、Speedoは、水泳に関わるさまざまな面で、水泳初心者からマイケル フェルプスのようなトップレベルの選手にわたるスイマーを積極的にサポートしてきました。SpeedoはPentland Brandsが所有し、世界170カ国で販売されるブランドです。
URL: www.speedo.com
Speedo、ARROWの意匠、LZR PULSE、LZR RACERは、Speedo Holdings B.V.の登録商標です。 LZR RACERスーツは全世界で意匠権ならびに特許を出願中です。
■ANSYS会社概要
1970 年に設立された ANSYS, Inc. は、さまざまな産業のエンジニアやデザイナーによって広範に使用されているエンジニアリング・シミュレーション・ソフトウェアとテクノロジーを開発し、世界中で販売しています。同社は、ユーザーがデスクトップで直接設計解析を行うことができるオープンでフレキシブルなソリューションを開発し、設計思想から最終段階の試験や検証まで、高速、効率的、かつコスト意識の高い製品開発を行うための共通プラットフォームを提供することに力を注いでいます。同社とそのチャネル・パートナーのグローバル・ネットワークは、顧客への販売、サポート、トレーニングを世界中で展開しています。米国ペンシルベニア州カノンズバーグに本社を置き、世界各地に 40 の戦略的販売拠点を有する ANSYS, Inc. とその子会社は、従業員約 1,400 名を擁し、40 カ国以上のチャネル・パートナーのネットワークを通して ANSYS 製品を販売しています。 URL: www.ansys.com
ANSYS、ANSYS Workbench、CFX、AUTODYN、FLUENTおよび他のすべてのANSYS, Inc.の製品名およびサービス名は、ANSYS, Inc. 、または、米国および他の国にあるANSYS, Inc.の子会社の登録商標です。ICEM CFDはANSYS, Inc. によりライセンス供与される商標です。その他のすべての商標または登録商標は、各所有者の財産です。
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