プレスリリース

曲がるキックの研究

2006ワールドカップ

いよいよ今週から、2006年サッカーワールドカップがドイツにて開催されます。その熱戦で目にするに違いないのは試合の結果を決定することも多い曲がるキックです。なぜ曲がるのか説明が難しいこのキックの謎を、シェフィールド大学とFluent Europe Ltdによる先駆的な共同研究が初めて解明しました。

シェフィールド大学Department of Mechanical EngineeringのMatt Carre博士率いる研究チームは、Fluent社の最先端技術による数値流体力学(CFD)ソフトウェアを使用して、物体の内部および周囲の物理現象についてシミュレーションを行いました。ボールは、2006年ワールド カップで使用されるadidasの新製品を含め、36年前から現在までの4期間に使用されたパネルのデザインが異なる4種類を用い、周囲の気流を調査比較しました。

大学博士課程の学生およびSheffield FCの選手Sarah Barber氏、そして、Fluentの主席エンジニアDave Mannは、F1モーターレースで使用されるのと同様の三次元レーザースキャナを使用し、各ボールについて、縫い目や継ぎ目パターンなどを含む精確な表面形状の詳細を把握しました。その結果、ボールの初期方向に加え、その全体の形、表面形状、非対称性などが、キック後のボールの運動に大きな影響を与えることが判明しました。ボールの初期方向とキックされる方向の関係によって、サイドフォースが変化します。したがって、ボールがゆっくり回転しているときのキックは、サイドフォースを変動させ、ボールをカーブさせます。つまり、カーブの性質は、ボールがキックされる前の初期方向に影響されるのです。

研究チームは、日本の筑波大学の浅井武博士と共同で、CFDシミュレーションを検証するための風洞実験を実施し、試合と同じ条件下で、スピンの加わっていないサッカーボールの抵抗力は、過去36年の間に30%も低下したことを明らかにしました。今年の夏のワールドカップで使用される製品のような新しいボールでは、全体の形が丸くなり、縫い目形状が均一に近づいているとメーカーが主張する通り、わずかなスピンしかないか、全くスピンしていない高速キック後の運動がより安定しています。

このような新発見について、Carre博士は次のように述べています。「私たちの研究は、サッカーボールに、少しでも不均一なデザインや非対称な製造手法があれば、わずかなスピンしかかかっていない、または、全くスピンしていないボールのサイドフォースに劇的な影響が及び、結果として、空中のカーブにも大きな差が生じることをはっきりと示しています。選手がスピンをわずかしか、または、全く加えずにキックしたにもかかわらず、ボールが一見不規則に、時にS字形を描いて曲がる現象を説明するのに、今回の発見は大いに役立ったと確信しています。」

ワールド カップの前に目を向けるべき科学技術は、サッカーボールの空力だけではありません。6月9日の2006年ワールドカップ開幕戦は、FIFAワールドカップ スタジアムで行われます。このスタジアムはスイスの建築家Jacques Duke氏およびPierre de Meuron氏が、競技エリアの質を考慮して設計したもので、ドアが開放されているときに芝生の上を吹く風を均一にすることを意図しています。このような空気の移動により、試合と試合の間に競技エリアの芝生が成長するための最適な条件が得られるのです。

ドレスデンを中心に活動するコンサルタント、GTD GmbHのPeter Vogel博士は、Fluent社のソフトウェアを使用してスタジアム内の気流を調査し設計を検証した結果、観客にとってスタジアムは現在可能な最高の環境であり、2人の建築家による幻想的な設計は高い安全基準にも適合していることを確認しました。Vogel博士の詳細に渡るバーチャルな流れ解析は、試合中に芝生の表面近く、競技エリア上の空間で選手に対して吹く比較的おだやかな気流パターンを完全に再現しています。

このような世界各地からの研究報告について、Fluent Inc.のMarketing Communications Director、Keith Hannaは次のように述べています。「シェフィールド大学の調査で観察されたように、サッカーボールの空力性能が、その設計と製造に非常に密接に関わっていることが次第に明らかになっています。Carre博士とVogel博士の研究は、現代のコンピュータを使用したシミュレーション技術が、様々なスタジアム、ボール、キックを組み合わせたモデル化を可能にし、ボールがキックされる前に、その後の現象を予測できるようになることをはっきりと示しています。これは、サッカーボールやスタジアムの設計開発に全く新たな方向を切り開くでしょう。」


■Fluent会社概要
Fluent Inc.は、数値流体力学(CFD)ソフトウェアとコンサルティングサービスの世界最大のプロバイダで、ANSYS Inc.(Nasdaq: ANSS)の100%子会社です。Fluentのソフトウェアは、流れ、伝熱や物質移動、化学反応などの予測や可視化などのシミュレーションに使用され、航空宇宙、自動車、プロセス産業など、業種を問わず世界中の製造関連企業にとって、コンピュータ援用エンジニアリング(CAE)プロセスの極めて重要な部分を担って品開発、設計、研究に携わるエンジニアは、FLUENTを使用することで仮想プロトタイプを構築し、提案中もしくは既存のデザインのパフォーマンスをシミュレーションできます。その結果は、最適化、問題解決、スケールアップ、改装などに利用され、高価な実験や試作の必要を低減できることから、設計品質が向上する一方でコスト削減につながり、さらに製品化に至るまでの時間が大幅に短縮されます。

FluentのCFDソフトウェアはモーターレースからオリンピック、アメリカスカップ ヨットレースに至る、広い分野のスポーツ競技で利用されています。

FLUENTはFluent Inc. の登録商標です。製品やサービスの詳細については、ウェブサイトをご覧ください。ANSYSについての詳細は、同社ウェブサイト(www.ansys.com)をご覧ください。

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