プレスリリース

完璧なフリーキックの謎を解明!

2002年、サッカーのワールドカップが日本と韓国で開催される。 機を同じくして、キックされたサッカーボールに潜む”変化”の謎に目をつけた3つの研究者グループが、 その解明に挑んだ。
研究を行なったのは、シェフィールド大学スポーツ工学研究グループ、山形大学スポーツ科学研究所、 そしてフルーエント・ヨーロッパ社のエンジニアである。ブラジルのロベルト・カルロスやドイツの ミカエル・バラック、イングランドのデビッド・ベッカムといった世界クラスのサッカー選手が得意な、 「フリーキック」からの得点という妙技に魅了された彼らは、この難解な技術の解明を試みた。 サッカーという「美しい競技」に潜む刺激的要素に、基礎科学および工学上の解析を実施したのである。

フリーキックの謎
静止したサッカーボールの煙風洞空力試験(気流速度17 mph、7.6 m/s)で観察された、流れの乱流から層流への移行(シェフィールド大学)

フリーキックの謎
回転速度0 rps、気流速度18 m/s における後流の流跡線(FLUENT CFDによるシミュレーション)

シェフィールド大学スポーツ工学研究グループのマット・カルレ(Matt Carre)博士は 「フリーキックを十分に説明するには、サッカーボールが持つ物理的特徴に関する研究が不可欠」 との考えを示した。博士はその上で、「現象の説明には、風洞実験、高速ビデオカメラ解析、 軌道シミュレーション、コンピュータ流体力学などのコンピュータモデリング技術を相互に 組み合わせることが効果的です。今回の研究成果から、サッカーボールの理想的な設計に役立つ、 深い知識を得ることができました。サッカーの工学的側面に対する我々の基本アプローチからは、 トレーニングや若手サッカー選手の技能向上に応用可能な知見も導き出せると思います」と述べた。

フルーエント社のマーケティング・コミュニケーション部長のキース・ハンナ(Keith Hanna)博士は、 「ボールが空中で変化することでディフェンダーとゴールキーパーを翻弄するフリーキック。 これについては、ワールドカップの会期中、毎回必ずと言ってもいいほど話題に上ります。 フリーキックに費やされる約1.5〜10秒中、ボールには間違いなく何らかの非常に複雑な物理現象が生じています。 シェフィールド大学および山形大学と共同で実施したシミュレーションは非常に基礎的なものでしたが、 さらに広範な研究へと発展していけると思います。それにしても、ベッカムやカルロスのような 一流サッカー選手が、緊迫した試合状況の中で計り知れないプレッシャーを受けながらもフ リーキックを瞬時に決めるのには驚かされます。彼らの頭の中では何らかの詳細な軌道計算が 純然たる本能と経験を基に、数秒間で実行されているに違いありません。 一方で、我々のコンピュータでは同じ計算に数時間を要します。彼らの偉業にある程度は科学的説明を つけられるようになってきたとはいえ、いまだに魔法を見ているようです」とコメントした。

2001年ワールドカップ予選の対ギリシャ戦でベッカムが決めたあの見事なゴールを、 カルレ博士はシェフィールド大学で開発した技法で詳細に解析できたと説明した。 ベッカムのシュートしたボールは、ゴールから約27 m離れた地点から約80 mphの速度で蹴り出され、 約2 m飛んだところで高回転に伴って横方向に曲がった後、最終的に約42 mphまで急激に速度を 落としながらゴールのコーナーに飛び込んだという。

日本の浅井武博士らのグループは、ボールをキックするサッカー選手の高速ビデオ映像を 解析する手法を開発するとともに、インパクトの瞬間におけるボールとキッカーの足の ゆがみに着目した研究を重点的に進めている。この研究は、キック後に空中を飛ぶボールの 動きの把握と予測を行う上で、極めて重要である。関係する構造上の変化について行なった コンピュータシミュレーションでは、インパクトにおける所定の速度と角度、 接触位置によって選手がボールに与える回転数の予測結果が得られた。 浅井博士は、「わがグループが開発したコンピュータモデリング手法は、 優れたサッカーシューズを短期間でデザインしたいという場合や、サッカー選手の足がボールとの 相互作用によってどのように変化するかを説明したい場合にも役立つと思います。 解析結果には、キック技術と足の負傷防止にかかわる重要な結果も含まれています。 フルーエント社とシェフィールド大学との共同研究を通じて、個別の専門知識を相互に 補完し合うとともに、サッカー科学に関する総合的な知見を深めることができると考えています」と述べた。

■山形大学スポーツ科学研究所(S.S.L.)■
山形大学教育学部の浅井武助教授によって設立。浅井博士は、サッカーボールのキックに関する科学研究と、 自らの専門性を活かしたブーツメーカーとの共同開発において豊富な経験を有している。 本グループはまた、サッカーボールをキックした際の骨応力に関する広範なモデリング研究と、 サッカー選手の試合中のバイオメカニクスに関する研究も進めている。

■山形大学S.S.L.
http://www.e.yamagata-u.ac.jp/~asai/index.html

■シェフィールド大学スポーツ工学研究グループ(S.E.R.G.)■
S.E.R.G.は、イングランドにあるシェフィールド大学機械工学部の一部門で、 1996年にスティーブ・ハーク(Steve Haake)博士によって設立。以降、急速に発展し、 この分野では世界最大のグループの一つに数えられている。スポーツ工学とは、 スポーツ選手や愛好家が能力向上のために使用する外装用器具の研究と設計および開発に 標準的な工学上の原理と技法を応用するという、新しい学問分野である。 また、器具よりもスポーツ選手に着目した研究を行うスポーツ科学との関連性が高く、 両者は、運動能力が総合的な性格を持つため、研究内容が重なり合うことも多い。 S.E.R.G.は、様々な実験手法やコンピュータモデリング技法によるスポーツ時のボールと 投球に関する分析で世界クラスの専門能力を有するとともに、国際スポーツ器具協会(ISEA)と スポーツSETネットワークに密接に関わっている。

■S.E.R.G.とその応用研究
http://www.shef.ac.uk/mecheng/sports
http://www.sportsetnet.org.uk/
http://www.sports-engineering.co.uk/

■ワールドカップサッカー公式ウェブサイト
http://fifaworldcup.yahoo.com/

■第4回国際”スポーツ工学”会議のウェブサイト
http://www.hei.mei.titech.ac.jp/engsport2002/

■画像の入手方法■
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■会社概要■
Fluent Inc.は、数値流体力学(CFD)とコンサルティング・サービスの世界最大のプロバイダです。 Fluentのソフトウェアは、流れ、熱や物質の移動、化学反応などを予測や可視化などの シミュレーションに使用されています。業種に関わらず、世界中の製造関連企業にとって、 コンピュータ援用エンジニアリング(CAE)プロセスの極めて重要な部分を担っています。 製品開発、設計、研究に携わるエンジニアは、FLUENTを使用することで仮想の プロトタイプを構築し、提案した、既存デザインのパフォーマンスをシミュレーションできます。 その結果、最適化、トラブルシューティング、スケールアップ、モデルのレトロフィットが 可能となるのです。CFD ソフトウェアの使用は、費用のかかる物理テストとプロトタイピングの ニーズを減らすことにつながるため、製品が市場に出るまでの時間削減が可能になります。 Fluent Inc.(米国、ニューハンプシャー州レバノン)には、全米各地に営業所があります。 ヨーロッパ本部は、英国(シェフィールド)、アジア本部は日本(東京)です。 フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、スウェーデン、オーストラリア、ブラジル、 中国、韓国、台湾、チェコ他、世界中に代理店、ジョイントベンチャー、協力会社があります。 製品に関する詳細は、日本法人 フルーエント・アジアパシフィック(株) のホームページ(www.fluent.co.jp)をご覧ください。

■本プレスリリースに関するお問い合わせ■
フルーエント・アジアパシフィック株式会社
マーケティング部 岡
Mail: tok-mkt-all@ansys.com
Tel: 03-5324-7301